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2006年10月 アーカイブ

2006年10月06日

弥勒忠史演出:劇場支配人

7月16日(日)横須賀芸術劇場。

モーツァルトのアリアや重唱がたった4曲しかない小さな音楽劇。

弥勒さんは、これを、横須賀芸術劇場自主公演のオーディションという設定に置き換えて、みごとに時空の垣根を取り払い、あっという間に観客を巻き込んでしまった。

短い上演時間故に上演機会の少ないこの作品に、古楽器アンサンブルのメンバーのオーディションというおまけを付けることで、顧客満足度も一気にアップ。

とくに、《劇場支配人》の制止を振り切って演奏されたリコーダーによるトルコ行進曲(K.331の最後の楽章)が圧巻だった。もうやりたい放題のパラフレーズ、いつ、元のメロディーが帰ってくるのだろうかとハラハラのしどうし。公演の成功はここで約束されたようなもの。

本番の歌手のオーディションに入っても、二人のソプラノ歌手の声の質の違いや、刀を持ち出しての大立ち回りなど、音楽的にも視覚的にも十分以上に楽しめた。

上演中提供された白ワイン(たぶんドイツの微発泡)も夏らしく爽やかでよかった。

こんな生活していていいのだろうか。


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2006年10月08日

いわと寄席:柳亭市馬の日

木曜社の及川さん、ご隠居さんモードの浜地さん、主婦の友の金沢さんというかつての電子書籍トリオのお誘いを受けて。
いわと寄席は、デザイナーの平野甲賀さん夫妻がプロデュースされている寄席。
及川さん、浜地さん、幸子と飯田橋で待ち合わせし、紀の善という甘いもの屋さんで豆寒で小腹を満たしてから出陣。
市馬さんの演目は三軒長屋。ぼくは、こんなに長い落語の独演を聴いたのは初めてだった。素人がご託を並べたって仕方がないので、印象深かったことを一言だけ。
凋落した武士、職人、商人といった江戸時代の階層を象徴する三人の男が登場するわけだけれど、その話っぷりの使い分けが、至極面白かった。後半は、ゲストに三絃の田中ふゆ
ふゆ師匠を迎えての、寄席の歌。及川さんなどは、落語家ごとに異なる出囃子のメドレーにかなり陶酔のご様子。
はねた後、鳥茶屋に飛び込んで、生湯葉とうどんすきで軽く一杯。
なんというか、贅沢な時間だった。以前、同じメンバーで、谷中界隈の下町ツアーに連れて行ってもらったことがあるのだけれど、及川さんと浜地さんの掛け合いを聴いているだけで、すこぶる楽しく勉強になる。というか、ぼくや幸子が、いかに限られた社会空間の中で生きてきたか、ということ。歌舞伎や相撲の話、食べ物屋さんの話も含め、江戸時代から続く庶民の文化が、及川さんや浜地さんの血肉の中にごく自然にとけ込んでいる感じ。世代論だけでは割り切れない、豊かな生活環境にある種の羨望を覚えた。
金沢さんの心配りも含め、このような知己とともに、初秋の一夜を過ごせること自体、すごく幸福で贅沢なことなのだろうな、というのが、余韻を味わいながらの幸子との結論。
  • タイトル:いわと寄席:柳亭市馬の日
  • 開始日時:2006-09-29 19:00
  • 終了日時:2006-09-29 21:00
  • 場所:シアターイワト
  • 前座 市丸

    柳亭市馬「三軒長屋」

    ──仲入り──

    柳亭市馬の好きな寄席の唄

    ゲスト 田中ふゆ



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2006年10月22日

フィガロの結婚:宮本亜門演出(横須賀芸術劇場)

  • タイトル:フィガロの結婚
  • 開始日時:2006-10-15 14:00
  • 終了日時:2006-10-15 18:00
  • 場所:横須賀芸術劇場
  • 指揮:現田茂夫

    演出:宮本亜門

    出演:アルマヴィーヴァ伯爵 黒田博、伯爵夫人 佐々木典子、ケルビーノ 林美智子、フィガロ 山下浩司、スザンナ 薗田真木子 他

    合唱:二期会合唱団

    管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

    装置:ニール・パテル 衣装:前田文子 照明:大島祐夫

モーツァルトイヤーということなのだろう。今年は、さまざまなところでさまざまなモーツァルトの作品が上演された。ぼくたち夫婦も、それなりに恩恵を受けた。どこだったか東欧の歌劇場のドン・ジョヴァンニに始まり、国立劇場の魔笛、横浜オペラ未来プロジェクトのコジ、そして、今回のフィガロ。ドン・ジョヴァンニが一番凹だったかなあ。なんだかうら寂しくてねえ。
おっと、ヨコスカポケットでやった弥勒さん演出のバスティアンとバスティエンヌ、劇場支配人も忘れられない。
で、今回のフィガロなのだけれど、どうも記憶を辿っていっても、今まで実際に見た記憶がない。藤沢市民オペラの第一回上演作品なので、30年以上前からよく知っているつもりでいたのだけれど。ポネル演出、ベーム指揮の名作映画も何度か見た記憶があるし。
いずれにしても、宮本亜門の演出もすごくオーソドックスでシャープだし、舞台の上に額縁を切り、その外側もうまく利用した舞台装置も秀逸。現田さん指揮の神奈フィル、個々のキャスト、どの一つをとっても水準以上の出来で、素直に楽しめた。
なによりも、ぼくは、初めて行ったのだけれど、ホールがとてもいい。大きすぎず、客席の配置が古典的なヨーロッパの歌劇場みたいだし(平戸間+バルコニー式の2階席以上)、『オペラの運命』(岡田暁生著、中公新書)からの孫引きの知識をひけらかして、「フムフム、下々の者は1階席ね。ぼくなんて、3階席の真ん中だもんね」などと、悦に入ったりしてね。
これで、国立劇場のマエストロやかつての日生劇場のアクトレスのようなオペラの上映とリンクした美味しいレストランが併設されていたらもう最高。
拍手のタイミングがやや遅かったのは無い物ねだりなのだろうが、これからいい上演を重ねていって、地元の観客が少しずつでも成熟していくことを祈っている。
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